鼻の病気
鼻呼吸がしづらい、鼻がつまる、においがわからない、鼻血が出るなど
鼻には「呼吸」と「嗅覚」という2つの大きな役割があります。呼吸は鼻がつまっても口で行うことができますが、鼻には吸った空気の加温・加湿のほか、フィルター作用があります。 鼻呼吸ができずに口呼吸になると、ウイルスや細菌がのどや肺に直接入り込んでしまい、様々な悪影響がもたらされます。
また、 嗅覚障害は、においの経路のどこかに障害が起こり、においを正常に感じることができなくなる病気で、においがわからないと味もわかりづらくなるため、2つの感覚が同時に障害されることになります。嗅覚は私たちが豊かな日常生活を送る上で欠かせないものです。嗅覚が障害されると生活の質(QOL)は大きく損なわれてしまいます。
- くしゃみが出る
- 鼻みずが出る
- 鼻がつまる
- 鼻水がのどに流れる
- 鼻がかゆい
- 臭いがわかりにくい
- 鼻や頬が痛い
- 鼻血が出る
代表的な疾患
アレルギー性鼻炎・花粉症
鼻みずの中には多数の好酸球が含まれています。特定のアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)に対する血液中の抗体の有無を調べる検査です。 アレルギーの原因を特定することにより、適切な治療を行うことができます。アレルギー検査・治療ページをご覧ください。
鼻中隔弯曲症
鼻の内部を左右に分ける鼻中隔が曲がっていることにより、鼻づまりなどの症状をきたしている疾患です。多くは鼻中隔にある軟骨と骨の発育スピードが異なるために弯曲をきたしますが、外傷が原因になっていることもあります。
自覚症状が強い場合は、鼻中隔矯正術を受けられることをおすすめします。
鼻出血
いわゆる鼻血のことです。鼻の入口付近にあるキーゼルバッハ部位から出ていることが多いですが、後方から出ていることもあります。
当院では鼻手術用内視鏡とバイポーラという出血部位をピンポイントに止血できる器機を備えておりますので、大抵の出血には対応可能ですが、ごく稀に全身麻酔による止血術を要することがあります。
嗅覚障害
性副鼻腔炎、感冒(かぜ)、アレルギー性鼻炎、外傷、薬剤、神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病)などが原因で起こります。慢性副鼻腔炎の中でも好酸球性副鼻腔炎においては、比較的早い段階で嗅覚障害が出現することが知られています。また神経変性疾患では、主な症状である運動障害や認知症状が出現する前に嗅覚障害を発症することがわかってきました。
当院では詳細な問診と内視鏡でにおいのセンサーがある嗅裂を観察し、基準嗅力検査、副鼻腔CT(+頭部MRI)を連携施設で受けていただき、的確に原因の鑑別を行います。
治療は、副鼻腔炎の場合はステロイド点鼻療法、感冒(かぜ)が原因の嗅覚障害の場合は漢方薬の内服が治療の中心となります。
急性副鼻腔炎
副鼻腔に急性の炎症が起こる疾患です。発症から4週間以内のものをいいますが、多くはかぜをきっかけに発症します。鼻づまりや黄色い鼻みずに加えて顔面の痛みや圧迫感を伴います。
当院では症状と鼻内所見から重症度を判定して治療を行います。不適切な抗菌薬の使用は薬剤耐性菌の増加を招きますので、軽症の場合はまず抗菌薬を投与せずに自然経過をみます。症状が改善しない場合や中等症以上の場合に抗菌薬を投与します。
慢性副鼻腔炎
副鼻腔の慢性炎症で、8〜12週間以上症状が持続するものをいいます。細菌感染、鼻・副鼻腔の形態や機能の異常など、様々な要因が複合して発症します。
内視鏡やCTで慢性副鼻腔炎と診断された場合は、まず内服治療と鼻処置・ネブライザーなどの局所療法を行います。
内服治療はマクロライド療法が中心になりますが、症状の改善が乏しい場合は内視鏡下鼻副鼻腔手術を受けられることをおすすめしています。
好酸球性副鼻腔炎
近年増えている難治性の慢性副鼻腔炎で、2015年より厚生労働省の指定難病に指定されました。副鼻腔の粘膜に著明に好酸球が浸潤していることが特徴で、発症の早期から嗅覚障害をきたします。
通常成人になってから発症しますが、気管支喘息や解熱鎮痛剤に対するアレルギーのある方は特に治りにくいので注意が必要です。
治療は内視鏡下鼻副鼻腔手術を行い、術後に鼻洗浄と内服・点鼻治療を行いますが、治療は長期間に及びます。
歯性上顎洞炎
歯や歯周組織の炎症が上顎洞の粘膜に広がった状態のことです。頬や歯の痛み、悪臭のある鼻みずなどが特徴的な症状です。
近年では虫歯よりも根管治療が不十分な歯やインプラント治療によるものが増えています。歯科と連携して治療を行います。
副鼻腔真菌症
副鼻腔に真菌(カビ)が感染して起こる疾患です。真菌が抗原(アレルゲン)として働いて起こる場合もあります(アレルギー性真菌性副鼻腔炎)。ごく稀に急激に眼や頭蓋内に浸潤する組織侵襲型もあります。
多くの場合は内視鏡下鼻副鼻腔手術を行って副鼻腔が十分に換気されれば予後は良好です。
副鼻腔嚢胞
上顎洞根本手術(以前よく行われていた歯茎を切る手術)後、数年~数十年を経て頬に嚢胞ができて痛みや腫れを引き起こす術後性上顎(頬部)嚢胞が最多です。
後部副鼻腔に嚢胞ができると眼症状をきたし、緊急手術の適応になることがあります。